207.直感は正しくない?
今回のテーマは、直感に関する雑学ネタである。
1.誕生日のパラドックス
ある集団の中に同じ誕生日の人がいる確率が半分を超えるには、
果たして何人の人を集めれば良いだろうか?
直感的には、365日の半分で180人前後かな。
しかし、正解は23人であり、難しい計算によって求められる。
自分と同じ誕生日の人がいる確率と勘違いしやすい。
2.モンティホール問題
目の前に3つのドアがあって、1つは当たり、2つはハズレ。
まず最初に、とりあえず1つだけドアを選択する。
すると、残りのドアのうち、ハズレのドアを開けて見せてくれる。
そして、選択するドアを変更しても良いと言われる。
果たして変更した方が得だろうか?
直感的には、変更してもしなくても当たりの確率はそれぞれ 1/2 のはず。
しかし、正解は変更した方が得であり、確率が 1/3 から 2/3 に倍増する。
このように、直感は意外と正しくないかも。
もちろん、自分の直感を信じることも大切だと思うが。
206.事前の説明を怠ると
うちに初めて来所されたクライエントとの会話。
ク「私は催眠に掛かりにくいタイプだと思います」
私「どうしてそんな事が分かるのですか?」
ク「以前に通っていた所では全く掛からなかったからです」
私「どうして掛からなかったと分かるのですか?」
ク「掛かった感じが全くしなかったからです」
このような内容の会話をすることが頻繁にある。
この後、私は丁寧に真実を説明をすることになる。
まず、催眠状態はあまり掛かった実感がないこと。
なので、必死に掛かろうと頑張る必要はないこと。
そして、掛かった実感がなくても効果は十分に出ること。
このような説明は必ず催眠誘導の前に行うようにしている。
すると不思議なもので、ほとんどの人が掛かりやすくなる。
掛からないと言っていた人でさえ、どんどん深く入ってゆく。
かなり深く入ると、掛かったという自覚はあるようだ。
もちろん、結果的には効果も十分に期待できるだろう。
さて、どうして他所はそういう説明をしないのだろうか。
事前の説明を怠ると、疑念を抱かせてしまうかもしれないのに。
ほんの数分もあれば説明できることなのに。
無名の所だけでなく、スキルもキャリアもある所ですら。
205.効果的な暗示とは
催眠療法においては、催眠中に改善のための暗示を行っている。
この暗示の言葉を作る作業は、必ずしも簡単ではない。
個々の症状によって暗示の内容は大きく異なる。
また、クライエントの希望によって内容を変える場合もある。
しかも、常に効果的な暗示を心掛けなければならない。
この作業は、療法士としてのスキルが要求される。
そして、このスキルの差が効果の出方を大きく左右する。
たまにクライエントから言われることがある。
「もっと強烈な暗示をして欲しい」
「ストレートな表現で強調して欲しい」
念の為に、その方が望む暗示の内容を確かめてみる。
すると、ほとんどの場合が、効果的な暗示とは言い難い。
不自然に繰り返し強調すると、逆効果になる可能性もある。
一般的には、強烈な暗示はあまり効果的とは言えない。
クライエントが自然に受け入れられる内容が望ましい。
204.カウンセリングモード
たまに予約がキャンセルになることがある。
キャンセル自体は、仕方の無いことだと思っている。
ただ、キャンセルの連絡のタイミングは重要である。
前日や当日の朝一番に連絡があった場合は良しとしよう。
しかし、予約時刻の15分前の連絡では困る。
「この時刻になるまで連絡ができなかったのですか?」
声には出さず、相手にそう質問してしまう。
中には、時刻を15分も過ぎてからの連絡という場合もある。
「全く連絡が無いよりもマシか」と思うようにしている。
実は、早めの連絡は、我々にとってはとても意味がある。
別の予約を入れたり、別の用事を行うこともできる。
連絡が無ければ、来所するものと思ってスタンバイしている。
平常モードからカウンセリングモードに切り換えている。
当然の事ながら、別の用事をするほどの余裕もない。
予約時刻が過ぎてもヤキモキしながら待っているだけである。
できれば、こんな非生産的な時間は過ごしたくない。
逆のパターンで、たまに予約無しで来所される方もおられる。
それはそれで有り難いことなのだが、心の準備ができていない。
速やかにカウンセリングモードに切り換える必要がある。
せめて、ほんの15分前にでも連絡をくれれば助かるのに。
それくらいの時間があれば、モードを切り換えることができる。
203.カウンセラーの指示内容
今回は、他所のカウンセラーの指示内容について書く。
クライエントと話をしていて不思議に思うことが多い。
なぜ彼らはそのような指示をしたのだろうか。
1「今後は服薬を止めなさい」
医者でもない者が無責任に服薬の中止を指示してはいけない。
催眠療法を始めたと同時に服薬を止めるのは現実的だとは思えない。
十分な効果が出て、止められる日が来れば止めれば良い。
2「マイナスの事を考えてはいけません」
自分の心掛けでそれができるくらいなら悩んでいない。
それが自然にできるようにするのが我々の役割である。
そのような指示は全く無意味で、場合によっては不信感を招く。
3「催眠療法の事を信用しなさい」
信用した方が効果的だとは必ずしも言えない。
実際に半信半疑でも十分に効果は出ている。
無理に信用しようとする姿勢はかえってマイナスとなる。
4「催眠中は私の言葉に集中しなさい」
自ら必死に集中しようとすると暗示が入りにくくなる。
自然に集中できたという状態が望ましい。
そのためには気楽に聞き流すくらいの方が良い。
5「催眠中に力を抜こうと頑張りなさい」
こんな指示をしている段階で催眠療法士失格だろう。
自然に力が抜けるようにするのが我々の技能である。
本人の頑張りによって抜いてもらうものではない。
以上のように、疑問を感じる指示内容が後を絶たない。
こんなカウンセラーは少数だと思いたいのだが。
202.見るなのタブー
誰かに「絶対に見るな」と言われたとしよう。
すると、かえって見たくなる心理が増す場合がある。
このような心理現象を「カリギュラ効果」と呼ぶそうだ。
例えば、覗き穴を作って「覗くな」と書いておく。
一方、何も書いていないパターンも準備しておく。
果たして、覗く人の数はどちらの方が多いのだろうか。
もしも、書いてある方が多ければ、効果は実証できたことになる。
上記の実験は、ただの心理実験なので笑えるかもしれない。
しかし、神話や民話では、悲しい気分にさせられることが多い。
見てしまったために、必ず悲劇が訪れることになるから。
ギリシア神話であれば「パンドラの箱」が有名だろう。
パンドラは「開けるな」と言われていた箱を開けてしまう。
日本のおとぎ話でも、浦島太郎が玉手箱を開けている。
民話「鶴の恩返し」では、覗いてはいけない部屋を覗いてしまう。
ギリシア神話の「オルペウスとエウリュディケの物語」も有名である。
亡くなった妻のエウリュディケを冥界から連れ帰ろうとするオルペウス。
冥王ハデスは「外に出るまで後ろを振り向かなければ妻を返す」と約束する。
妻が自分に着いて来ているのか不安になるオルペウス。
高まる不安に耐えられなくなり、彼は後ろを振り向いてしまう。
その結果、エウリュディケは冥界に引き戻されることになる。
以上のように「見るなのタブー」をいくつか挙げてみた。
古今東西、理由に差はあっても、見てしまうのは人間心理の特徴なのだろう。
201.必要回数が決まる要素
催眠療法を希望する人にとって、必要回数は知りたい事柄だろう。
ただ、実際には個人差があるので、答えられるようなものではない。
でも、それでは不親切なので、せめて要素だけでも書き出してみよう。
1.悩みの種類
効果が出やすい悩みと、そうでない悩みがある。
具体的には書きにくいが、経験を元に大まかになら分類できる。
2.悩みの大きさ
ちょっと悩んでいる程度か、どうしても改善したい大きな悩みか。
悩みが大きくなればなるほど、それなりの回数が必要となる。
3.悩みの長さ
最近になって悩み始めたのか、何年も前から悩んでいるのか。
悩んでいる期間が長くなれば、必要回数が増える傾向がある。
4.催眠の掛かりやすさ
催眠に掛かりやすいタイプと、そうでないタイプがいる。
掛かりやすいタイプの方が効果が出やすいが、中には例外もある。
5.目標の設定
少しだけでも改善できれば満足なのか、ほぼ完璧に改善したいのか。
目標の設定を「より完璧」にすれば、より多くの回数が必要となる。
6.受けるペース
週に1回のペースで受けるのか、月に1回のペースで受けるのか。
一般的には「月に1回」だと改善効率が悪く、必要回数が倍増しやすい。
以上のように、六つの要素を挙げておいたので、参考にしてもらいたい。
なお、シミュレーション用の計算式も考えたが、公開は止めておく。
実際の回数とは掛け離れた机上の計算に過ぎないので。
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