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 彼の記憶に残っている恋愛の経験といえば・・・・・小学5年生の時に同じクラスの女の子からラブレターをもらったこと。それから、中学2年生の時に「小川君みたいな人がタイプ」と言われたこと。それから、高校1年生の時に、隣のクラスの女の子が「小川君ってどんな人?」と誰かに聞いていたらしいという噂が自分の耳に入ってきたこと。
 彼にはそれくらいしか思い出すことができなかった。しかも、だんだんより恋愛から遠ざかっていることも、もちろん自覚していた。これまで彼は、全くと言っていいほど、恋愛を成就させるために自ら積極的に行動したことはなかった。常に何かが起きるのを待っているだけであった。だからこそ、彼のこれまでの恋愛経験がこれほど悲惨な結果になってしまったのだ。

 正志は家に帰ってから、日が暮れる前に庭の木々や花に水をやろうと思った。と言うのも、仕事でいつも帰りの遅い父親から水やりを頼まれていたからだ。
 水やりも終盤に差し掛かり、最後に松の木に水をやろうと思った時、彼は松の木の根元に何かを見つけた。その何かとは、直径が2センチくらいのガラス玉のような丸い物だった。土はかなり付いていたが、土に埋もれてはいなかった。
 なぜこんな所にこんな物があるのだろうか、と彼は少し不思議に思ったが、あまり気にせずそのまま松の木に水をやろうとした。そして、松の木から跳ね返った水しぶきが、その玉に当たったちょうどその時だった。なんとその玉は、見たこともないほど鮮やかなプリズム色を一瞬発したではないか。少なくとも彼の目にはそう映った。
 彼はその玉をもう一度じっくり見た。それは土と水で泥だらけになった、ただの汚いガラス玉だった。その時彼は、さっきの雑誌の占いに宝石がどうとか書いてあったことを思い出した。
 「宝石とは言えないかもしれないけど、これも何かの縁かもしれない」
と彼はつぶやいて、その玉をホースの水でていねいに洗った。すると、その玉は見違えるほどきれいになった。少しの濁りもないきれいな透明の玉だった。どうしても手元に置いておきたいような気にさせる、そんな不思議な輝きを放っていた。
 「もしかしたら、これは水晶玉かなあ。水晶玉だったら、何か神秘的なパワーを持っているかもしれないな」
と彼はつぶやくと、家族に見つからないようにこっそりと、その玉を自分の部屋に持ち込んだ。そして、手のひらに載せたその玉をしばらく見つめた後、机の引き出しの奥にそっとしまい込んだ。

 同じ日の晩、正志が夜中にふと目を覚ますと、何か眩しい光のようなものが辺りを覆っていた。彼はすぐに部屋の蛍光灯を見上げたが、電気は確かに消えていた。それなのに、部屋全体が何台ものスポットライトを浴びているかのごとく明るく見えた。
 彼はあわててベッドから身を起こした。彼の意識はまだぼんやりしていたが、何かただならぬ事態が進行していることはすぐに理解できた。彼はまず光の発生源が何であるかを探すべきだと思った。だから、恐かったものの注意深く辺りを見回した。最も強く光を発していたのは机の周辺だった。
 「恐らくあの玉だ。あの玉が光っているんだ」
と彼は小さく叫んだ。彼はかなり恐ろしかった。しかし、勇気を出してベッドから立ち上がった。机の引き出しに入れたあの玉を確かめようと思ったからだ。
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