彼女はぶっきらぼうにそう言うと、私に箱の包みを差し出しました。その場で開けてみると、中から飛び出してきたのは、くまのぬいぐるみでした。でも、ただのぬいぐるみではありません。私は思わず、アッという大きな声をあげてしまいました。
ぬいぐるみが、なんとマフラーをしていたのです。そして、マフラーには私の名前が編み込まれていました。さらに、メッセージカードにはこう書かれていました。
「悔しいから、マフラーを編んで、ぬいぐるみの首に巻きつけてやりました!」
あれから10年以上経った今では、ぬいぐるみもマフラーもすっかり色褪せてしまいました。でも、このプレゼントを見ていると、あの日の照れくさかった感情が、なんだかよみがえってくるような気がします。
(完)