学校に向かう途中、亮太は伸吾に昨夜の夢の話しを始めましたが、伸吾はいかにも退屈そうな顔で聞いています。亮太もなんだかつまらなくなってきたので、途中でサッカーの話題に変えました。
そして、例の鍵を拾った公園を通り抜ける時、亮太は勢いよく鍵を投げ捨てました。そんなただの鍵を大切そうに持っていてもしかたないと思ったからです。ブランコの近くに転がったその鍵には、実は、青と黄色と白のペンキがわずかについていたのですが、もちろん亮太は気づきませんでした。
それもそのはずです。今朝の亮太にとっては、始まりのチャイムが鳴るまでのあと15分間で、どうやって宿題を片づければいいかということの方が重要だったのです。
「僕はいったいどんな人生を望んでいるのかなあ。もしその答えが見つかれば、あんな作文なんかすぐにでも書き上げることができるのに」
亮太はそんなことを考えながら、少し急ぎ足で、朝の校門を通り過ぎていきました。
(完)
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