ドアの向こうに中年のおじさんが見えました。どうやら、どこかの会社にいるようです。おじさんは、みんなから部長と呼ばれている人にくどくどと注意を受けていました。そして、ようやく席に戻ってきたかと思ったら、今度は若い人たちからあれこれと苦情を言われています。
おじさんはそっとつぶやきました。
「こんなはずではなかったのに。会社ではいつも上司と部下との板ばさみ。家に帰ったら、妻にも子供にも相手にされない。俺の人生はいったいどうなっているんだ。人生の歯車はいったいどこで狂ったんだ」
亮太はその先を見るのが恐くなって、思わずドアを閉じてしまいました。
「どうじゃ、今度は満足できたかな?」
「満足どころか、すっかり落ち込んでしまいました。僕がさえないサラリーマンになっているなんて」