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 麗子は10分くらい遅れて現れた。彼女の顔を見た瞬間、正志は照れくささが爆発しそうになった。でも彼は、やっぱり麗子に会えてよかったと思った。彼女とは一昨日会ったばかりなのに、久しぶりに会ったみたいななつかしさが感じられた。今日の麗子も美しかった。服装もおしゃれだった。髪型は少し若づくりな気もしたが、正志にはそれがまんざらでもなかった。
 麗子の提案で、二人はレストランで食事をすることにした。そこは正志がこれまで入ったことのないようなおしゃれな店だった。料理のオーダーは彼女に全て任せるしかなかった。正志は彼女に何かいいところを見せなければと思ったが、レストランでは終始彼女のペースであった。
 レストランを出ると、二人はすっかり暗くなった街を歩いた。どこか行くあてがあったわけではなかった。麗子は自分の腕を正志の腕に絡ませてきた。靖子の時と同じように、柔らかい胸の感触が伝わってきた。その時正志は、彼女は意識的にそうしているのではないかと思った。こんな二人を道ゆく人達はきっと好奇な目で見ていたに違いない。でも正志には、もうそんなことは全く気にならなかった。この幸せな状態が少しでも長く続けばいいのにと願っていた。
 突然麗子が立ち止まり、正志に声を掛けた。
 「ねえ、入りましょ」
 ホテルの前だった。正志はほんの一瞬ためらった。その手を引っ張るようにして麗子は先に中へ入った。ホテルの中は全てが正志にとっては新鮮だった。部屋に入ると、二人はとりあえずベッドに腰を掛けた。麗子がしゃべり出した。
 「人目があると話しにくいでしょ」
 「えっ、話し?」
 「そうよ。何だと思った?」
 「あっ、いや」
 「レストランにいた時も、お店の人も隣にいた家族連れも若いカップルも、私達の方をちらちら見てたでしょ。きっと人妻に若い男性がたぶらかされてると思ってるわよ」
 「人がどう思おうといいじゃないですか」
 「私はいいけど、あなたは将来のある身だから困るでしょ?」
 「そんなことないです。僕は全然かまいません」
 「本当にいいの?」
 「ええ。もう決めましたから」
 「何を決めたの?」
 「あなたのことを好きになるって」
 「まあ。本気で言ってるの? からかってるんじゃないの?」
 「本気ですよ。この2日間ずっと会いたくてしかたなかった」
 「うれしい」
 麗子はうっとりとした表情で正志を見つめた。すでに正志は、その表情に吸い込まれていた。麗子が目を閉じた。その時、正志の顔は麗子にゆっくりと近づていった。やがて唇が重った。そして抱き合った体がベッドヘと崩れていった。そのまま正志は、息が苦しくなるくらいキスを続けた。長いキスが終わった時、麗子が言った。
 「私のこと、好きになれる?」
 「これ以上は好きになれないよ。もう、十分好きだから」
 「本当に?」
 「もちろん本当」
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