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 「一つだけ聞いていいですか?」
 「ええ、なんでしょうか」
 「つまり、西村さんとのこと、僕には可能性があるんでしょうか?」
 「可能性はあると思います。きっと小川さん次第ね」
 「じゃあ、電話番号教えてくれる?」
 「どうしようかなあ」
 彼女はしばらく考えてから電話番号の書いたメモをくれた。
 「じゃあ、明日の晩の9時に必ず電話するから」
と正志が優子に伝えた時、ちょうどコンパもお開きになった。そして、その場にいた連中は散り散りに解散したが、正志と優子の交際はその時から始まった。

 その後2年の交際を経て、二人はめでたく結ばれた。その後さらに、順調に子供にも恵まれ、正志は二児のパパになっていた。
 今日は上の子の運動会の日だった。上の子は今年もう小学1年生になっていた。
 「パパ、今日絶対に応援に来てよ」
 「ああ、もちろん行くよ」
 「僕、走るのがんばるからね」
 「うん、わかったから、遅れないように早く学校に行っておいで」
と正志は言って上の子を送り出した。朝食の後片付けが終わるの待ってから、正志は妻の優子と下の子と三人で小学校まで出掛けた。
 運動会は子供達のはしゃぐ声やスピーカーの音、それに応援の声で実ににぎやかで活気にあふれていた。今日は秋晴れのいい天気だったので、一段とたくさんの家族が子供達の応援に来ていた。競技を見ていると、さすがに小学6年生の競技には迫力が感じられた。うちの子もあと5年もすればああなるんだなあと思っただけで、正志はちょっと不思議な感じがした。
 午前中の競技が終わって昼休みになった。おいしい弁当を優子が用意してくれていた。下の子は疲れて眠っていたので、起きてから食べさせることにした。正志が弁当を食べ終わって片付けようとしていた時、優子の顔がふと彼の目に留まった。彼女はまだ弁当を食べていた。相変わらずかわいい妻だなあと正志はその時思った。そして、もう一度だけ優子の顔を盗み見ようとした。その瞬間、正志ははっとして手を止めた。彼は何かを思い出したような気がした。優子がそんな正志の様子に気づいてたずねた。
 「どうしたの? 私の顔をじっと見て」
 「おい。前にも一緒に運動会に来たことなかったか?」
 「ある訳ないでしょ。来たのは初めてよ」
 「でも、一緒に弁当を食べたような気がして」
 「それは、ピクニックに行った時じゃない?」
 「春の野原にピクニックに行ったのならはっきり覚えてるよ。それじゃなくて確かに運動会だった」
 「それじゃあ、誰か他の人と行ったんじゃないの。それとも夢で見たとか」
 「そうかなあ。でも、そのピンクの服、確かに見覚えがあるんだけど」
 「いやあねえ、あなた。これ昨日買ったばっかりよ。もう、いいかげんにしてよ」
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